上達のコツは、「真似る」だけではダメ
「学ぶ」とは「真似る」から来ている。だから徹底的に上手い人の所作を真似るべきである。
という話を耳にしたことはあるだろう。
確かにその通りだ。全て自分で1から作り上げる必要はない。そんなことをしていたら人生なんてあっという間だ。
ただ、「真似る」ということに対して、あまり具体的に言及されていないように思われる。
私は「その到達までのプロセスを追うように自分で工夫して試行錯誤する」ことが上達のコツなのではないかと思っている。
特に、受験勉強なんかで起こりやすい。
いわゆる、「応用ができない子」なんていうのはここがミスっているのだ。
解法の丸暗記をしてしまう。勉強つまらんなーと思っている子。でもやたら真面目だからある程度は点が取れる。
解法を書くことを真似る(覚える)ことはできる、ただ、それがなにを意味しているのかを理解していない。
そういう子は、的を射た質問をしてこない。
これは( )が必要なんですか?とかどうでも良いところに目が向いてしまう。
何かでつまづいてるな、と思い見てみると、基礎的な計算や、問題文の整理ができずに止まっている。(ただ、これは教育上の問題な気がする)
これは子供の例だが、大人になってもこれに陥っている人は多い。
たとえば、あなたが、太くたくましい腕になりたいと考えて、筋トレをしようと思ったとしよう。(これはあくまで例えなので筋トレに関する細かいツッコミはご容赦いただきたい)
巷には沢山の「腕を太くする筋トレ理論」があるはずだ。
そこで「腕を太くしたいならジムへ行け。」と書かれているのを目にする。
えっ、家での腕立て伏せじゃダメなの?ジムじゃなきゃダメ?でもお金がなーとか、近くにないからなーとか思うわけだ。
ここで大事なのは、
「なぜその人が、ジムを推奨しているのか。」を考え、「自分で試してみる」ことだ。
家でも、ジムでできるのと同じ負荷で筋肉に刺激を与えることができるのならば、ジムと同様の効果が得られるだろう。と考える。
家で同じようにやるためには、相当な重量のダンベルが必要だが、他人に見られずに出来ることがあなたにとってはやりやすいかもしれない。
家でやってみたら、モチベーションが上がらずに続かなかったが、意を決してジムに行ったら、お金を払っている分頑張れるかもしれない。
結果的に、「推奨されていたことを踏まえつつ、自分で工夫してやってみたところ、やっぱりジムが良かった」というゴールに到達すれば良い。
このやり方には2つの良い点がある。
1つは、「自分で自発的に工夫していく中で楽しく行うことができる」ことだ。
人は、自分で工夫してやってみて、成長することに快感を覚える。知識全くゼロから始めるのは時間がかかってしまうが、指導を踏まえた上で自分で試してみることが一番である。
2つめは、「この方法は本当に正しいのだろうか?」という不安がなくなることだ。
盲目的に真似をして、効果がなかったとき、自分ではどうしようもなくなってしまう。
しかし、この方法では、自分で、「ジムに行った方が良いのか」を検証しているのだから、その不安はなくなる。
仮にこの指導が間違っている場合も、自分で修正することができる。
上達のコツは、教わった結論をそのまま真似ることではなく、その結論を前提に自分で工夫をして試してみることである。